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ツール・ド・フォースを 根付かせるために

33年ぶりの開催となったツール・ド・フランス ファムのグランドフィナーレから6週間。1984年、初の女子ツール・ド・フランスの勝者となったアメリカ人のマリアンヌ・マーティン、EFエデュケーション・TIBCO・SVBのヴェロニカ・エワーズ、エミリー・ニューソン、アビー・スミスの話と共に、レースを振り返ります。

1984年、マリアンヌ・マーティンは初のツール・ド・フランス フェミニン(後にそう命名された)の勝者となりました。38年前に切り拓いた道を、今年、彼女は観戦するために訪れました。ツール・ド・フランス ファムは、当時とは少し様相が異なるように見えるかもしれませんが、ピカピカのサポートカーと鮮やかなキットの背後には、マリアンヌが戦ったツール・ド・フランスの本質が今日にも残っています。女性たちもツール・ド・フランスで戦うことができる。そしてこれからも続いていくのです。

「フランス人たちは、私たちが完走することはできないと思っていました。でも、私たちもフィニッシュすることができることを証明し、彼らにぎゃふんと言わせたのです。これが私たちが現代の女性たちのためにしてあげられたことです。当時私たちは18ステージ(今年は8ステージ)を走り、そのくらいの距離を走っても女性の子宮は壊れないというメッセージを送れたと思っています」。

「女性たちがコロラドのクアーズ クラッシックで走っているのを見て、体力も十分で、しっかり戦えている。私も走りたい!と思いました。もしそれを見ていなければ、私がレースをするようになっていたかはわかりません。そして、今年のレースは観ていた私に、もう一度全てをやりたいと思わせてくれました。女性たちが、他の女性たちがレースをしているのを見る。これがスポーツの成長を促すことになるのです」。

「今日の女子レースを取り巻く興奮には眼を見張るものがあります」。とマリアンヌは言います。「私たちの時代は、こんな感じではありませんでした。多くの関心が寄せられ、ファンたちも盛り上がっていました。でもメディアは取り上げてくれませんでした。何かが起こるような予感は感じていたのですが、そこで止まってしまったのです」。

1989年を最後に女性のツール・ド・フランスは費用を理由に中止となりましたが、男性レースはスポンサーの枯渇、過ちやスキャンダルを乗り越え、生き残りました。女子レースに対する財政的支援は初めから腰が重く、常に不足していましたが、女性たちのレースへの情熱は常に熱く溢れていました。

「私の父は、私がレースをすることにあまり賛成ではありませんでした」と、マリアンヌは回想します。「卒業のとき、父にレースに出たいと言いました。すると彼はカメラを買ってくれたのです。当時はお金がなかったので、レースにかかる費用をクレジットカードで支払っていました。自分にはレースできる体と体力があることを知っていたので、お金は後で稼げると思っていました」。

「心拍計などのテクニカルデバイスを持っていませんでしたが、自分の体を熟知していたので、どこでプッシュして、どこで休むべきかを知っていました。さらに、レース前半はメカニックもいなければ、19以上のギアはありませんでした。でも、走りきることができました。私たちは、レースに出れることが本当に嬉しかったのです。行き当たりばったりでしたが、できる限りのベストを尽くしました。朝、ビドンにはエスプレッソを入れ、レースのラスト1/3でそれを飲むのです。それが私たちの科学でした」。

「もっとこのスポーツが発展することを願っています」と、マリアンヌは言います。「より多くの女性たちのレースを見たいと思っています。ツールから判断すると、おそらくそれは実現可能でしょう。レースの重要度のために18ステージ必要だとは思っていません。より少ないステージ数でも、より多くのサポートがある方を望みます」。

今年のツール・ド・フランス ファムのファイナルステージを前に、EFエデュケーション・TIBCO・SVBのヴェロニカ・エワーズの順位はトップ10外でした。ラ・シューペル・プロンシュ・デ・ベル・フィーユで発揮した驚異的なパフォーマンスにより、プロとして初シーズンの彼女は総合9位でレースを終えました。

「私個人とチームの達成は、どちらも本当に素晴らしいものでした」と、ヴェロニカは話します。「とても誇りに思いますが、プロトンのトップ選手たちと戦えることを知った今は、もっと上を目指したいという欲が湧いてきています。私はまだ確立した女性というより、ミーハーなファンみたいな感じです。何度かマリアンヌ・フォスの後ろにつきましたが、ミーハーな興奮を抑えることができませんでした」。

彼女のパフォーマンスとプロトン内の特定のライダーの存在に加え、熱い観客たちもレース中の何とも言えない特別な雰囲気に貢献しました。最終戦には510万人という新記録を達成した視聴者が観戦し、人々の今年のツールへの熱狂はこれからの未来を作るものとなりました。

視聴者数がこれをとても重要なレースにしました。そして他の長いレースもこの視聴者数を得られるべきです。私の故郷アイダホでは、映画館のビルボードに‘GO VK EWERS’と掲げてくれました。このレースがアメリカの田舎町全体を女性サイクリングへと導いてくれました。なんと素晴らしいことでしょう。これがそこで可能なら、どんな場所でもそれが可能となるでしょう」。

「私も他の多くの女性たちと同じ意見で、今の段階では21日間のレースができる予算やスタッフが足りません。より大きなチームや財源、人材なしには実現することができません。でももしその全てがあれば、それは素晴らしいことです。まずは、プロトンの全ての女性が生計を立てられる給料を得ることができれば、全体としてより強いライダーに成長できると思います」。

母親、ミュージシャン、プロサイクリストの肩書きを持つEFエデュケーション・TIBCO・SVBのエミリー・ニューソンが、ゆっくりペースの生活に不慣れなのは想像に難くありません。今年のツールの最終ステージの1つ前のステージでチームメイトのために不断の努力を尽くした1週間後の彼女には、かつてないほどゆっくりとした時間が流れているようでした。制限時間外にフィニッシュしたにも関わらず、彼女の楽観主義は健在で、偉大なレースのインパクトに圧倒されていました。

「時間が経てば経つほど、それがより大きくなっていくのです」と、エイミーは言います。「どれだけ大きな出来事だったのか、もっと後になってわかるでしょう。女性たちにとって、そしてサイクリング界の女性たちにとって、それは大きな瞬間で、その中に自分が入れたことに圧倒されています。全てが思い通りに行ったわけではないですが、自分自身により誇りを持つようになり、自分も参加できたことに驚いています」。

「その時も、それがどんなに意味のある瞬間であるのかは知っていました。何百人ものファンに囲まれ、坂を登り、角を曲がれば、喧騒が耳をつんざくようでした。誰もが限界に達していて、どのステージも過酷で、まるでワンデイレースが8回連続しているかのように感じていました。束の間でも気を休めることができることを期待していましたが、全くありませんでした」。

コメンテーターが持っていた私たち選手に関する知識から放映時間まで、メディアの扱いには驚きました。レースではしばしば単にお金のために放送しているだけのように感じることもありますが、今回は女子レースを祝福してくれているように感じました。」

「もっとステージ数が多くなれば、より面白くなると思います」と、エミリーは付け加えました。「そうすれば、より多くのドラマが起こり得ます。プロトンが逃げを許したり、総合優勝争いに絡まない選手の勝利も生まれることでしょう。短いレースでは、みんなが熾烈な争いをするので、誰も飛び出すことができないのです」。

20歳、プロフェッショナルとして初シーズンのアビー・スミスのサイクリングジャーニーはまだスタートしたばかりです。ヨークシャーの快適な自宅からレースを観戦した後、彼女は、来年はスタートラインに戻ることを決意しました。

「未来のレースを楽しみにしています。私はそこに行きたくて仕方がなく、次の展開を見るのがとても楽しみです。今年はとても見応えがあり、選手たちは観客や雰囲気のことを話していました。今後はより良く、よりグローバルに広がっていくと思います。もちろんメディアには男性も女性も平等に取り上げてほしいと思いますが、男子レースと女子レースには、心理学、チームサイズに違いがあります。私は女子レースの方がより攻撃的だと思います」。

「子供時代、毎年男性のツール・ド・フランスを見ていました。そして私のロールモデルは、クリス・フルームのような選手たちでした。女性でも良かったのですが、女子レースはテレビで放映されたことがなく、誰も知りませんでした。いま私は、若い頃には夢にも思わなかったことをやっています。プロトンの中にいると、自分はファンのように感じます」。

「ワールドツアーの最低賃金のおかげで、私はこれをフルタイムのキャリアとしてやることができます。ほんの5年前まで、女性たちは副業をしなくてはいけませんでした。ターニャ・エラスはドクターで、昨年、EFエデュケーション・TIBCO・SVBがコンチネンタルチームだった頃、彼女は夜勤をしていました。副業を必要としないことは、特権的な地位なのです」。

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