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Rapha Prestige Kamikatsu

04 June 2016

四国の山は奥深い。 「ジャッ、ジャッ、ジャッ、ジャッ……」路面を刻むタイヤの音が静寂さを一層強調する。苔生した路面に脚を取られぬよう注意しながら3つめの山をダンシングでひたすら登る。山のピークにはトンネルが待ち構えていた。吸い込まれるように入っていくと照度が低く真っ直ぐ進むのもおぼつかない。出口に近づくと射し込んできた光によって外の光景が途端に露になる。

そこにはちょっとした人だかりが出来ていた。中心にいる人物の手が交差しているのが目に映る。タイムアウトの宣告だった。「あ…」僕らの初めてのRapha Prestigeはあっけなく終わった。

昨年の夏、仕事の関係で郷里の四国・愛媛に戻ってくることになった。携わっていた新しいプロジェクトは「四国再発見」をテーマに掲げて取り組んでいた。地元の仲間から「次のPrestigeは徳島でやるらしいよ」と聞いたのもその頃。徳島は子供の頃、2年間を過ごした懐かしい場所でもあった。

Rapha Prestigeが四国に、徳島にやってくる。これは走るしかないな…。話を聞くや、男性2名、女性3名からなる即席Mixチームができあがった。チーム名(BICICLETTA OCCHINI)は僕の愛称と言葉の響きの良さから女性メンバーが命名してくれたのだった。

舞台となる上勝の地は正に秘境と呼ぶにふさわしい。150km/3,800m upのハードなコースは四国の真髄を体感するのにこれ以上無いほどのEpic rideとなること間違いなかった。バックポケットに大量の補給食と希望を詰め込んでスタート。一抹の不安はあったけれど、この時はそこまで気にしていなかった。

スタートして、のっけから大自然の真っ只中に放りこまれた。渓谷の中を滑るように進んでからの登坂。BGMはライ・クーダーのInto the purple valleyなんかが気分だ。山の緑に桜のピンクが補色となって強烈に主張してくる。垂直に切り立った山肌、滝の流れ、斜面には四国ならではの遍路道。

「分け入っても分け入っても青い山」 山頭火の句が思わず頭に浮かんだ。晩年に四国を巡った時もこの道を歩いたのだろうか...。

幾重にも連なる山々が陽の光を遮って、周りの色をより一層濃く深く見せる。ちょっと湿った森の匂いは少年の頃の記憶を呼び覚ましてくれるようで嬉しい。時折現れる集落にホッとしながらも冷んやりとした空気感が纏わりつく度、この地の神々しさに気づかされるのであった。

分け入っても分け入っても青い山
種田山頭火の句が思わず頭に浮かんだ。彼が晩年に四国を巡った時もこの道を
歩いたのだろうか……。

2つ目の山で予感は的中した。終わりが見えない九十九折の長い登坂。「まさか、山頂まで休み無しじゃないよね?」

トレーニングライドの時にも感じていた不安がここにきて顔を見せる。メンバーそれぞれの脚力や経験に差が有りすぎて足並みが揃わない。登るにつれ、視界から消える時間が多くなってきた。

まずいことに山頂手前でチームメイトのバイクにメカトラが発生。クランクが脱落するトラブル。アドベンチャーライドにトラブルはつきものだけど、これには笑うしかなかった。とはいっても、大きなタイムロスであることには間違いない。リカバリー後に到着したチェックポイントで足切り時間が間もないことを知らされる。

僕らは最後の風景に辿り着くことなくサドルから降りた。多くのチームが足切りになり、制限時間内にフィニッシュラインを超えたのはわずか7チーム、完走扱いのチームも全体の半分くらいだったという。今思えば、一人が抜け落ちた時点で僕らはすでに終わっていたのかもしれない。5人で協力して走る意味。チームを成熟させる時間や、ちょっぴりの運……何もかもが足りなかった。

終わってみれば、上勝の地は四国再発見どころか僕の中に強烈な印象を植え付けてしまう場所となった。 「なんてことをしてくれたんだよ...(笑)」 何故この地が選ばれたのかが今ならわかる気がする。先人達がかつて通った道、眺めたであろう山や空と対話しながらこれからも四国路を走りたい 。そうすることで新たな発見があるだろう。

この気持ちを忘れないうちにノートに描き留めなきゃ。The end だけど、ぜんぶが終わったわけじゃない。いつか5人で忘れ物を取りに戻らないとね。

Should I stay or should I go? 残り4人でも進むことに決めた。

すでに僕ら4人のビドンは空っぽになっていて、一刻も早く給水が必要だった。森を抜けると華奢な佇まいの喫茶店が現れた。大ぶりのヤカンから水を分けて頂き、思い掛けずこの土地ならではのお接待文化に触れることが出来た。

3つ目の山ではチームとして限界が来ていた。後ろを振り返るとチームメイトが目に涙を浮かべながら登坂する姿が確認できる。刻一刻と過ぎて行く時間。このペースでは次のチェックポイントの閉門時間にとても間に合わない。

ここで終わりかもしれない……と思いながら山頂を目指して駆け上がる。八重地トンネルの入り口が目に入った。ここが終わりの場所となった。

終わってみれば、上勝の地は四国再発見どころか僕の中に強烈な印象を植え付けてしまう場所となった。 「なんてことをしてくれたんだよ...(笑)」 何故この地が選ばれたのかが今ならわかる気がする。先人達がかつて通った道、眺めたであろう山や空と対話しながらこれからも四国路を走りたい 。そうすることで新たな発見があるだろう。

この気持ちを忘れないうちにノートに描き留めなきゃ。The end だけど、ぜんぶが終わったわけじゃない。いつか5人で忘れ物を取りに戻らないとね。

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終わってみれば、上勝の地は四国再発見どころか僕の中に強烈な印象を植え付けてしまう場所となった。 「なんてことをしてくれたんだよ...(笑)」 何故この地が選ばれたのかが今ならわかる気がする。先人達がかつて通った道、眺めたであろう山や空と対話しながらこれからも四国路を走りたい 。そうすることで新たな発見があるだろう。

この気持ちを忘れないうちにノートに描き留めなきゃ。The end だけど、ぜんぶが終わったわけじゃない。いつか5人で忘れ物を取りに戻らないとね。

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