ジェン
アマチュアレベルの元レーサーで、スポーツにおける男女平等のために走るグループ『インターネーショネルス』のメンバー。
アレクサ
サンタバーバラを拠点に、周辺の山々でのハイキングやスキー、ライドのツアーガイドとして活動。
モニカ
マレーシア出身で、ニューヨークを故郷と呼ぶモニカ。これまで加わったサイクリングコミュニティでは常に中心的な人物を担ってきました。
ヴェリティ
ロンドンとポートランド在住のオーストラリア人。ヴェリティは常に新しい冒険を求めています。
自転車に乗ることの意味は多種多様、千差万別です。ある人は健康のため、ある人は友情を深めるためにサドルに跨ります。一人で思いにふけることもできますし、自己最高記録を塗り替えるチャンスでもあります。夜明けとともに走り出し、日が暮れるまで走り続けることもできます。もちろん何を着ても構いません。サイクリングは自由なのです。
『自由に楽しむ』。それがアウトドア ヴォイシズとのロードトリップにおけるミッションでした。そのことを頭に入れて、ロサンゼルスに集まった4人のライダーたち。彼女たちはフォルクスワーゲンのキャンパーに荷物を詰め込んで、パームスプリングスに向かって砂漠を東へと向かいました。
アレクサはキャンパーでの移動に心が躍ったと言います。「とても可愛くて小さくて、心地良さが詰まったバンだった」と彼女は笑います。「本当に辿り着けるのか心配したけど最後まで機嫌よく走ってくれたし、おかげで今回の旅路が特別なものになった」。
ロードトリップに合わせたヴェリティの選曲:
ロードトリップに欠かせないキャンパーはカリフォルニアの広大な大地を走り続けました。4人が乗る真っ赤なフォルクスワーゲンは、4人が行きたい場所、走りたい場所、探検したい場所を繋いで行ったのです。
最初の寄り道は一風変わったものでした。ヴェリティはこう説明します。「パームスプリングスへの道中、テーマパークがあったので立ち寄ったの。恐竜の模型が並ぶ不思議が光景。とてもクールだった。テーマパークの中に入ろうと思って見上げると、気づかないうちに巨大なブロントサウルスの足元に立ってた。誰がどんな理由で作ったのか知らないけど、楽しい時間だった」。
「日々の生活の中で『飛んでいる』ような感覚を味わえる行為はサイクリング以外にあまりない。まだその感覚を味わったことがないのなら、サドルに跨って欲しい。それが自転車に乗る理由の一つだから」
- ジェン
パームスプリングス到着後、最初のライドとして4人は自転車に跨って街を抜け出しました。彼女たちが目指したのは街を見下ろすエアリアルトラムウェイ(ロープウェイ)乗り場。タフな登りにメンバーはそれぞれ様々な反応を見せました。中止も囁かれているエタップに参加してアルプスの峠道を征服したいという野望を持つジェンにとっては取るに足らない登りでした。
一方、苦しい登りだったと正直に打ち明けるのはモニカとアレクサです。「とても風が強かったこともあって、前半からずっと辛かった」と、アレクサ。「もう一枚ギアがあれば楽なのにと思いながら走り続けて、なんとか頂上に到着。やり切った!」
競うことなくエアリアルトラムウェイまでの登りを終えた4人は、待ちに待った下りに突入していきました。「誰もが『飛んでいるような感覚』を一度は経験すべき」と、ジェン。「山や丘を自転車で下ることでその特別な感覚を味わうことができる。それが自転車に乗る理由の一つだから」
「まだその感覚を味わったことがないのなら、サドルに跨って欲しい。一旦その感覚に触れてしまうと病みつきになるはず。最初のうちは登りが厄介な存在だけど、下りの気持ち良さが帳消しにしてくれる」。
街に戻ってから彼女たちは最初の夜の準備に取り掛かりました。本格的なトレーラーや移動テント、ボートまでずらりと並ぶテントサイトの中でも、赤いフォルクスワーゲンは決して見劣りしません。トレーニングキャンプではなくロードトリップなので食べ物も自由。登りで追い込んだ身体へのご褒美として、彼女たちはピッツァとワインを楽しみました。
ロードトリップに合わせたジェンの選曲:
翌朝、ジョシュアツリーまでの少し長めのライドに出かけた彼女たち。世界的に知られる風景が有名なナショナルパークですが、自転車で走破するには少々タフなルートです。4人は笑顔を絶やさずに距離を重ねていきました。
「ニューヨークに住み始めてすぐ、グループライドに参加してみたわ。当時はまだ誰も知らないし、グループライドのスピードもわからなかったけど、すぐに溶け込むことができたわ。苦しみを伴うかもしれないけどまずは試してみるのが好き」。
- モニカ
どこを眺めても広がるのは美しい風景。自転車に乗ることは今回の旅程の一部にすぎません。「ずっと走り続けるというよりも、遊びながら走った感じかな」と、アレクサ。「何度も止まってふざけあったり、岩によじ登ったりした気がする。風があったから、みんなミュージックビデオの中で通気孔の上に立つマドンナのようだった」。
ライドが終盤に近づくにつれて勢いを増した風は、髪をなびかせるだけでなく、彼女たちに襲いかかりました。「ジョシュアツリーを抜けたあたりで、目の前に砂嵐が見えたの」と、いまだに信じられないという表情でアレクサは語ります。「このあたりで昔キャンプしているときに砂嵐に巻き込まれたことがあるの。当時、二日酔い気味だった私に誰かが砂嵐の到来を告げてくれたわ。でも今回は問題なく対処できたの」
ロードトリップに合わせたアレクサの選曲:
実際に映画のセットとして西部劇に登場したこともあるパイオニアタウンで彼女たちは嵐から身を守りました。バイクに跨ってタフな1日を過ごした彼女たちは、それぞれの興味に従って街の散策を始めました。まず最初に姿を消したのはアレクサでした。
「陶器に目がないので、地元の店に真っ直ぐ向かったの。西部劇の雰囲気が漂うホテルも最高だった。ペンドルトン柄のブランケットやインテリアからインスピレーションを得た人は本当に多いと思うわ」。
ロサンゼルス帰着前最後の夜、予想外の出来事に満ちたロードトリップの締めくくりにふさわしい歓迎を4人はパイオニアタウンで受けることになりました。
「パピー&ハリエッツという地元のバーに行った時のこと」とアレクサは満面の笑みで思い出します。「レターマンジャケットを着たバンドが古めの有名な曲を演奏していたの。私たちはカクテルを飲みながら、何時間も彼らが演奏する曲に合わせて躍ったりうたったりしたわ」。
ともに旅し、ともに歌い、ともに助け合い、ともに走った4人。彼女たちの姿は、サイクリングが必ずしもシリアスなものである必要がないことを示していました。少しくたびれた赤いキャンパーが完走できるかどうか。それがロードトリップの中で唯一シリアスなことだったと言えます。