ヒドゥンリーブス by ハンナ・バーンズ
1年の中でオフシーズンは最高の時期です。この日記が綴られたのは、9月のロード世界選手権開催前のタイミング。プロ選手のハンナ・バーンズが、どうして秋が最高の季節なのかを教えてくれます。
白樺の木と、赤とオレンジの葉っぱ。痩せこけた幹が風に揺れていた。たった一人で、それでもどこか誇らしげに、まるで秋の最後の太陽を全身で吸収しようと、その木は立っていた。前夜の嵐のような雨が過ぎ去った後、あたりは新鮮な空気に包まれ、空は青い。丘のエリアに向かってロングライドに出かけるという大きなグループがいたので、そこに参加してみることにした。
シーズン最後のレースも終わり、緊張感や周囲の期待、怒りを込めたペダリングとはすっかり無縁の自分がいた。
世界選手権はシーズンの全てをひっくり返すほどの力を持っている。良い結果は、良い形でシーズンを締めくくることを意味している。心は勝ちたいと思っているけど、頭ではそれは難しいことなんだと分かっている。
この10年で、イギリスはグランツールや世界選手権、オリンピックでメダルを量産してきた。だから赤と白、青のナショナルジャージを着ると、とても身が引き締まる思いになる。他の女子レースとは違い、世界選手権はテレビ中継されるので世界中の人が観てくれる。祖父母やおじさんおばさん、友人たちがテレビの前にいることを想像すると大きなモチベーションになるし、積極的なレースで全てを出し切りたいと思う。
エリートとして3度目の出場となった1年前のベルゲン大会のことは一生忘れることがないと思う。とても調子が良かったので、後手に回りたくなかった。コースは険しかったものの自分のスタイル向き。だからレースを心から楽しむことができた(ハンナは終盤にレースを動かし、積極的な走りを見せて14位)。そしてレース後のインタビューや会見は素晴らしい経験だった。イギリスの国内メディアにまともに扱われたのはそれが初めて。もちろん、それが冬場のトレーニングに向けて大きなモチベーションになった。
「ロードレースは自分の仕事であり、愛するものであり、私の全て。でもヘルメットを被らず、パワーメーターのキャリブレーションもせず、ボトルに水を目一杯入れない季節が1年で一番好き」
レースシーズンは長くて、まるで感情のローラーコースター。ある週末に良いレースができたと思えば、次の週末には集団に食らいつくのがやっとだったりする。だからシーズン最後の世界選手権の季節がやってきてホッとしている。女子レースの仲間たちとシーズンを戦い抜いたことを祝福したい。長い間くくっていた髪をようやく下ろす時が来る。何を食べても何を飲んでも何時に寝たって構わないし、それが本当に現実とは思えないほど久しぶりに感じる。
オフシーズンを楽しみすぎてるんじゃないかと思うことがよくある。身体的に回復する重要な時期だけど、同時に、精神的に回復する重要な時期だと思う。ロードレースは自分の仕事であり、愛するものであり、私の全て。でもヘルメットを被らず、パワーメーターのキャリブレーションもせず、ボトルに水を目一杯入れない季節が1年で一番好き。家族や友人に会ったり、夜遅くまで遊んだり、巨大なピッツァやアイスクリームを食べたり、人生を楽しむことができる。
でもそんな自由な季節はあっという間に終わって、またジャージに身体をねじ込んで、来シーズンに向けて身体を作っていく時間がやってくる。最初のゆっくりなライドが好きだなんて言わない。だって嫌いだから。ゆっくりでも走り続けないといけない。だって調子が良くなる唯一の方法が走り続けることだから。
一旦調子が上がれば、またロードレースが大好きになっている自分がいる。よく走りよく食べよく寝るというルーティーンに戻るまでにそれほど長い時間はかからない。特に冬場のトレーニングの最初の2週間は無計画で、どれぐらい走るかというライドの長さを一緒に走る人に決めてもらったりもする。まだ知られていない道や登りを開拓するのも楽しいし、長いソーシャルライドで自由を味わうのも本当に楽しい。
「気持ちは何も変わらない。1年の中でこの季節が好き。温かいお粥を食べてから、朝の静かな道の上を走り出す。まだコンディションの心配をする必要なんてない」
徐々にインターバルをトレーニングに組み込んでいく。そこで正式にオフシーズンが終了。ショーツと半袖ジャージを組み合わせる季節なんてはるか昔のことで、毎週1枚ずつメリノのレイヤーが増えていく感じ。気持ちは何も変わらない。1年の中でこの季節が好き。温かいお粥を食べてから、朝の静かな道の上を走り出す。まだコンディションの心配をする必要なんてない。パワーメーターの数値や脚の状態も気にしなくていい。クリスマスの頃にはいよいよ次のシーズンが近づいていることを感じ始め、トレーニングプランもハードなものに変わっていく。それが冬。新しいシーズンはもうすぐそこまで来ている。
ハンナはキャニオン//スラムのチームメイトたちとともに9月の世界選手権チームタイムトライアルで優勝し、世界チャンピオンに輝きました。チームタイムトライアルが開催されるのは今年が最後。来年はチームではなく国対抗戦に変更されます。つまりハンナは永遠に世界チャンピオンなのです(少なくとも私たちはそう思っています)。
ヒドゥンリーブス コレクション
ハンナ・バーンズとのコラボレーションによって誕生したコレクションは、落ち葉を象った幾何学模様が特徴です。その模様を構成する配色は、9月らしい深い緑色から11月らしい赤茶色まで、秋を表す明色から着想を得ています。
ヒドゥンリーブス スープレス ジャージ II
背中ポケットに美しい秋のアクセントが入った限定版の最先端パフォーマンスジャージ。
ヒドゥンリーブス スープレス ビブショーツ II
キャニオン//スラムの選手がトップレースで使用しているビブショーツ。いつも、毎日、快適に乗るために。
ヒドゥンリーブス スープレス ベースレイヤー - スリーブレス
季節の変わり目を示す深い緑色が特徴の、軽量で汗を素早く吸い上げるベースレイヤー。
ヒドゥンリーブス スープレス ソックス - レギュラー
ソフトな肌触りで上質な糸を使用し、軽さと耐久性を兼ね備えた一年中活躍するソックス。ダークティールも登場