マルコ・パンターニほど偶像化されたサイクリストは多くありません。剃り上げたスキンヘッドやイヤリング、バンダナといった独特の風貌だけでなく、数多くの戦歴が彼を特別な存在へと高めています。パンターニは自転車界のスーパーヒーローでありながら、物腰の柔らかい人柄という相反する側面を持ち合わせていました。強い信念とともに攻撃する活発なライディングスタイルからは想像できないほど、バイクから降りた彼は痛々しいほどシャイでした。

これまでどんな伝記にも綴られてこなかった角度から、パンターニの生涯に迫ります。以下は翻訳に携わったコリン・オブライエンの言葉です。「これまでパンターニについて多くのことが語られてきましたが、これは実際に存在していないシミひとつない殉教者を讃える愚かな賛美歌ではありません。確かに一部の人々にとってパンターニは神です。ですが、彼はそれ以外にも多くの側面を持っていました。私たちと同様に、良い面も悪い面もあったのです」