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Part3 - 西伊豆スカイライン

湯ヶ島温泉を過ぎると単調なルートだ。標高900mまで、ただひたすら高度を上げる作業にかかる。山脈の尾根を縫うように走る伊豆スカイラインは、きっと冷たい風が吹き荒れていることだろう。だがそこに至るルートは、登坂距離が12km、標高差にして600mの登り。忘れ去られたような鉱山を過ぎると、本格的な登りが始まった。
平均勾配は7%だが、実際の勾配は10%を超えているはず。ただ一人コンディションの良さを見せる内池がパワフルなペダリングで飛んで行く。小俣はいつも通りの軽いペダリングでヒョコヒョコと身を揺らしながら進んでいる。彼らが視界から消えようとも他の3人は気にしない。そこに会話が生まれる気配は無い。アイコンタクトで全てを察する。

オーバーヒート気味で登りを終えたライダーを待っていたのは、左右に大洋を望む伊豆スカイラインの雄大な景色。早くも本格的な冬の到来を告げるかのような、冷たさに芯のある風が吹き付けていた。尾根には腰の高さほどの笹しか生えておらず、海で水分を含んだ強風が容赦なくライダーを襲う。まだ気管支炎から完全に復活していないヴィンセントは、堪らず風の窪地に逃げ込んで難を逃れている。ここでは誰の後ろを走ろうが、スリップストリーム云々の常識は通用しない。下りでもペダリングを休むと途端にスピードが落ちる。海が作り出した冷たい風は、波のように寄せては退いた。
下りでも内池のスピードは冴えていた。ペースが合致した小俣と自分は、突然の横風に大きく振られながらも、寄り添って下りを進む。次の登りは名も無い峠だが、今回のルートの最高地点。疲れた脚は悲鳴を上げ始めた。

豪快なダウンヒルを終えて戸田峠の交差点に到着。そこでは寒さに震える内池が一人待っていた。皮肉にも、メンバーの中で最も脚を余し、真っ先に下りを終えたご褒美が、寒空の下の放置プレイ。さすがに可哀想に思えた。その数分後、ヴィンセントが低空スタント飛行を終えてやってくる。元プロマウンテンバイクライダーのヴィンセントにとってこんな下りは朝飯前。高速ダウンヒルが彼に火をつけた。





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「西伊豆スカイラインでは車は見えなくても常に乾いたエキゾースト音が響いている。コンバーチブルの隊列、大きなツインVのグループ、変わったバイク軍団と、今年の東京モーターショーよりはるかに見応えがあるかもしれない。」- 矢野大介




